新渡戸稲造『修養』を緩く読む

新渡戸稲造『修養』(たちばな出版)を見ながら、およそ1日1ページを目標に緩い言葉づかいにするブログ。

59-60第二章 若い人の進路 進路を決めるタイミング

59-60 第二章 若い人の進路 若者が進路を決めるタイミング 孔子は 「われ十有五にして学に志す」と言ってる。 どういうふうに学問をしようと思ったかは わからないけれど、 孔子が初めて進路を考えて決めた年齢が 15歳なのだということは、はっかりわかる。 …

57-58 大いに伸びる青年は、元気をためる

57-58 大いに伸びる青年は、元気をためる 「人間が世渡りするには、 スラリとして、 付き合いやすくなければならない。 多少の悪いことをすることで、 人の気持ちに寄り添うことができ、 世渡りのヒケツを学ぶものだ」 と言う人がいる。 このような間違った…

55-56 おそるべき元気の乱用

何年か前に亡くなられた お酒の愛好家、西村捨三さんは 最近では指折りの、偉い人だったと思う。 僕がもっとも尊敬していた、一人です。 去年ワシントンで過ごしていたとき、 公使館まで、 小村公使に会いに行ったことがある。 そのとき僕は いつものとおり…

54-55 青年は元気を貯めろ

4.青年の第四の特性青年は元気を貯めろ 次に青年の特性としてあげることは エネルギー(元気)がたくさんあることだ。 元気のない人は、 若くても、もう老いぼれたのと同じ。 青年とは言えない。 前にも言ったように、 青年はいつも 将来やるべき希望抱負を…

53 淡白と無礼を誤解するな

淡泊と無礼を誤解するな子供らしい自然な感じがしないのは日本国民の大きな欠点だ。だから僕は我が日本人がシンプリシティーを養いそれぞれ若くなって、先々に伸びてゆく余地を作りたいと思う。 青年は淡泊でなければならないそれを誤解して、無礼でよいのか…

50〜52 青年はさっぱりと淡泊でいよう

3 青年の第三特性青年はさっぱりと淡泊でいよう 青年は淡泊(シンプル)でなければならない。自然に従って開けっ放して拗ねたところなく すらすらとして少しもひがみがない必要がある。 青年のうちは天性で淡泊な人もいる。また、若いときには淡泊だった人が…

49〜50 青年は不必要な知識を貪るな

青年は不必要な知識を貪るな 「青年は 何もかも知らなければならない。 知識を得るためには 世間の悪を知ることもある。 世間を知るためには、 少しぐらいの悪を知るのもやむを得ない」 などと教えたがる者がいる。 しかし僕は、そんなこと信じない! 世間の…

47〜49 子供らしいことは果たして悪いことなのだろうか

子供らしいことは果たして悪いことなのだろうか 日本人はこの点について、 西洋人に劣っていると思う。 西洋人は、大まかに言って、 やっていることと 言っていることが いかにも のびのびして、無邪気だ。 ひねこびたところが 少ない 遊ぶときについてみて…

46 日本の若者は、ずいぶんと年寄りぶる

2.青年の第二の特性 日本の若者は、ずいぶんと年寄りぶる 東洋の習慣では 全般的に、昔やった仕事を数えて、それが多いのを喜ぶ傾向がある。 過去とはいえその人がやった仕事が多いのは、もちろん喜んでいい。 また、これと同時に 年長者を尊敬するふうもあ…

45 年をとっているか若いかは、今後やるべき事の多い少ないで決まる

年をとっているか若いかは、今後やるべき事の多い少ないで決まる ユウェナーリスという文学者が、昔のローマ帝国の全盛時代について書いたことがある。世間の好みが派手好きになり、人の心が乱れて女性の道徳が墜落したことを述べ、女性の年齢を数えるのに公…

43〜44 希望抱負に富む者こそ青年

希望抱負に富む者こそ青年 これに対して青年とは、 過去にした仕事よりも、 将来にすべき仕事の数が多い、 つまり希望と抱負がたくさんある人を言う。 人間がこの世に生まれてくれば、 するべきことはたくさんある。 近頃の言葉で言えば、 人間がこの世に帯…

42 その人の価値を決める基準

その人の価値を決める基準 昔の詩人も、人物の価値を定めるには、その人のやった事業で数えるべきだと言う者がいる。 たしかに事業を見れば、その人を測定する標準になる。 けれど、これは他人が観察することで、その人が自分で決めることができない。 4、…

41 「歳をとる」とはどういうことか

「歳をとる」とはどういうことか 大体、人が歳をとるというのは何を基準にして決めるものだろうか。 暦にも太陽暦とか、太陰暦とかいろいろあって、年にも長いのと短いのがある。 こんなもので人が若いか老いているかを決めるのは、単に人を肉体とみなしての…

39〜40 第1章 青年の特性 「青年」の意義

第1章 青年の特性1.青年の第一の特性青年の意義 青年! 青年という言葉は、よく人が使う言葉であり、また何とか青年会というものも各地に盛んに組織されているが、青年とか青年会とかいうのは一体どういうものなんだろう。青い年と言うからには、老人を白い…

36〜38 修養説の将来

修養説の将来 近頃は、「修養。修養」と言う声がだいぶ世間に響き渡り、一つの流行語のようになった。それについて僕の心配することは、今後の成り行きだ。 そもそも日本の思想界は大概10年ごとに一変するようだから、今世間で言われている修養説も10年後に…

33〜35 非凡なことは、平凡なことの修養によってできるようになる

非凡なことは、平凡なことの修養によってできるようになる 非常事態のときの立ちまわりは、前にも言ったように、なんといっても日々の平凡な心がけによる。春風に誘われて3日間見ない間に開く桜は、風に吹かれて慌てふためいて開くのではない。前年の冬から…

32〜33 日露戦争で倒れた2人の男

日露戦争で倒れた2人の男 日露戦争に身を挺して特別任務にあたり、 ついにハルピンの露と消えた、 横川省三と沖禎介の2人の男は、 随分と修養のあった人たちだ。 沖さんは豪傑風で、態度は堂々としていた。 横川さんは、いよいよ死ぬというときに 非常に静か…

30〜31 修養のある人とない人との違い

修養のある人とない人との違い 他の人や僕が「平凡」という言葉を使ったので変に思う人もいるかもしれない。しかし僕が言っている平凡の務めというのは、そのことそのものは平凡であっても、これを実行する人は、決して平凡ではない。僕の家の前を毎朝同じ時…

27〜29 実践道徳に必要なのは、日頃からの行い

実践道徳に必要なのは、日頃からの行い 僕には こういう学問上の根本思想に立ち入る力はないし、 少し立ち入れたとしても、 そういうのはわざと避けようと思う。 避けたからといって実践上、差し支えないと思う。 僕が思うに、 道徳的、倫理的思想は、純粋な…

26 修養についての誤解

修養についての誤解 短い言い方をすれば、 修養とは身を修めて心を養うということだろう。 身と心の健全な発達を目指すのが、目的だ。 近頃は修養という言葉が広く使われている。 でも、修養する目的物の内容については、 僕のいうところと全く違った考えを …

23〜25 全体について 修養とは何を意味するか

全体について修養とは何を意味するか 修養とは、読んだそのまま、「修め養う」と書いてあるから、これだけですでに意味なんて分かると思う人もいるでしょう。 だけど、そうだとしたら「納める」とは何を修めるのか?「養う」とは何を養うのだろう。目的語に…

もくじ

もくじ初めに-3 凡例(ただしこのブログでは省きます)-22 全体について-23修養とは何を意味するか/修養についての誤解/実践道徳に必要なのは、日頃からの行い/修養のある人とない人との違い/日露戦争に倒れた2人の武士の話/非凡なことは、平凡なこ…

3〜6 はじめに

新渡戸稲造 『修養』 3 はじめに 僕は昔こういう話を聞いたことがある。 昔、何とかっていう(仮に A 先生とします。)物知りの儒学者がいた。すごく沢山の本を読んで、知らないことは何もなかった。だけど、読んで分かったことを活用することができなかっ…

このブログの中身

修養 (タチバナ教養文庫) 作者: 新渡戸稲造 出版社/メーカー: たちばな出版 発売日: 2002/07 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (12件) を見る このブログは、たちばな出版からの新渡戸稲造『修養』を読んだブログ主が、その内…