新渡戸稲造『修養』を緩く読む

新渡戸稲造『修養』(たちばな出版)を見ながら、およそ1日1ページを目標に緩い言葉づかいにするブログ。

55-56 おそるべき元気の乱用

何年か前に亡くなられた

お酒の愛好家、西村捨三さんは

最近では指折りの、偉い人だったと思う。

 

僕がもっとも尊敬していた、一人です。

 

 

 

去年ワシントンで過ごしていたとき、

公使館まで、

小村公使に会いに行ったことがある。

 

そのとき僕は

いつものとおり、

「最近で、

あなたが最も偉いと思う人は、

誰ですか?」と尋ねた。

 

侯爵は少しのあいだ頭を傾けてから、

「やっぱり(大久保公は別にして)、

伊藤公、大隈伯等だろうな」と語ってらっしゃいました。

 

 

 

僕は、

「西村捨三さんをご存知ですか?」

ときいたら

 

小村伯は手を打って

「西村君は偉い!

これはたしかに現代の偉い人だ」と

感心されたことがある。

 

 

 

西村氏が偉いと言っているのは

僕一人ではない。

 

それなのに、その西村氏は

60歳以下で廃人と同様の人になってしまった。

 

天から預かった生まれながらの偉いところを

充分に発揮することができなかった。

 

これは言うまでもなく

酒を飲みすぎて倒れたからで、

その英才も、元気を乱用したから

充分に発揮することができなかったのだ。

 

 

青年は、

将来にやるべき

大きな希望と

抱負を持っている。

これを見越して、

元気を保存しないといけない。

 

大切な元気を

めちゃくちゃに使いまくったら

元気を失うだけでなく、

乱用するときに

悪い知識をおぼえて、

永久の大ダメージが絶対にある。

 

 

元気をめちゃくちゃな使い方して

悪いことをするのは、

ただただそのときだけのことと思いがち

だけど、

これのために、そのあとは

いつもこの悪いことが

深く頭脳にスタンプされて、

 

悪い知恵となり

本を読むときも、

人と話しているときも、

その悪いことが思い出されて目の前についてまわる。

例えば、頭脳の内に汚いスタンプを押したようなもので、

いったん覚えた悪い知識の印象は

永久に、ぬぐいさることができない。

 

 

参考

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