新渡戸稲造『修養』を緩く読む

新渡戸稲造『修養』(たちばな出版)を見ながら、およそ1日1ページを目標に緩い言葉づかいにするブログ。

54-55 青年は元気を貯めろ

4.青年の第四の特性
青年は元気を貯めろ

 

次に青年の特性としてあげることは

エネルギー(元気)がたくさんあることだ。

元気のない人は、

若くても、もう老いぼれたのと同じ。

青年とは言えない。

 

 

前にも言ったように、

青年はいつも

将来やるべき希望抱負を

たくさんもっている。

 

これをやりとげて目的に達しようとすれば、

元気、つまり勇気が

必要になってくる。

 

「ああ自分のぶんは終わった」と

途中で挫折するような人は、

決して青年とは言えない。

 

お金を失った人は、

また働けば得られることがある。

 

名誉を損なった人は、

謹慎して回復することがある。

 

しかし勇気を失った人は

再び起ち上がる時がないと

ゲーテが教えた。

 

勇気は老人を若返らせる。

 

七度倒れて八度起き上がる勇気ある人、

そういう人が将来のある人だ。

 

 

 

 

 

 

元気はこのように大切だ。

だから、

充分に節約して使わなければならない。

 

それなのに

青年の間はこれを間違ってとらえて、

むやみやたらに元気を乱用することが、

元気があるってことだと

思っている人がいる。

 

例えば誰かが

異性と遊びながらどっかほっつき歩いてるとか、

それとか

オール徹夜して呑んでいたとか聞くと

元気旺盛なんだみたいに思っている。

 

ところがこれは大きな間違いで、

自然

(下層自然でない…まあ、自然に上下の区別なんておかしいけれど。このことは後日として)

に対して負った借金は

後になって必ず返さなくてはならない。

 

 

返すどころではない、高い利子がつく。

 

 

 

 

   僕の知っている有力な実業家に

「ワガハイは

食べ物などなんでもかまわぬ。

必要があれば石でも噛む。」と言って

石をガリガリやって、

自分は元気なんだとやった人がいる。

 

その後、注意して見たら、

その人の歯は総入れ歯となっていた。

 

こんな元気はまるで狂気の沙汰で、

真の元気ではないと思う。

 

 

 

 

要するに

精神的に自然でないものは、

一種のカラ元気だ。

その時だけ

いかにも元気そうに見えるけれど、

その報いは、

いつかきっと、

自分の身にふりかかってくる。

 

 

 

そんなわけで

 

青年は元気がなければならないし、

その元気も充分に貯めて、

無駄使いしないようにして、

一方で

必要な時に

元気を役立つように使うことを

心がけなければならない。

 

 

 

 

参考

修養 (タチバナ教養文庫)

修養 (タチバナ教養文庫)